
電子製造分野において、はんだ付け工程は極めて重要であり、鉛フリーはんだ付けと有鉛はんだ付けは代表的な二つの方法です。それぞれの工法には多くの違いがあります。
融点の観点から見ると、有鉛はんだは鉛を含むため融点が低く、通常は183°Cから230°Cの範囲にあります。このため、はんだ付け時には容易に溶けます。一方、鉛フリーはんだは融点が高く、一般的に217°Cから245°Cの範囲であり、はんだ付けにはより高い温度が必要となります。
はんだ付け温度に関しては、鉛フリーはんだの融点が高いため、鉛フリーはんだ付けにおいてもより高温が必要です。この特徴ははんだ付けを可能にする一方で、電子部品やPCB基板に対する熱損傷のリスクを高めます。対して、有鉛はんだ付けは温度が低く、電子部品への熱衝撃が比較的小さくなります。
はんだ付け時間については、鉛フリーはんだは融点に達してはんだ付けを完了するまでにやや時間がかかるため、はんだ付け時間が長くなります。有鉛はんだは融点が低いため、はんだ付け時間が短く、大量生産においては時間コストの面で優位性があります。
フラックスの使用にも違いがあります。鉛フリーはんだ付けでは、はんだの流動性とぬれ性を向上させるため、より活性度の高いフラックスを使用する必要があります。有鉛はんだ付けでは、そこまで高い活性度のフラックスを必要としません。
はんだ付け設備と環境条件においても差があります。鉛フリーはんだ付けでは酸化を防ぎ、はんだ付け品質を高めるために、窒素雰囲気などの先進的な設備が必要になる場合があり、また環境の湿度や温度の管理もより厳しく求められます。有鉛はんだ付けでは設備や環境に対する要求は比較的緩やかです。
はんだ付け品質の面では、鉛フリーはんだのぬれ性が劣るため、はんだ付け品質に対する要求はより高くなります。鉛フリーはんだの接合部は機械的強度や電気的特性において、有鉛はんだとは異なる傾向があります。有鉛はんだは鉛の持つ優れた延性と靭性によって、接合の信頼性が高いとされています。
健康と環境の観点では、鉛フリーはんだ付けは鉛による環境汚染や作業者の健康リスクを軽減できるため、環境保護の流れにより適合します。有鉛はんだ付けは長期的に鉛と接触することによって、作業者の健康に潜在的な危険をもたらす可能性があります。
実際の生産においては、鉛フリーはんだ付けを選択するか、有鉛はんだ付けを採用するかは、製品のポジショニング、コストの予算、環境保護要件などの要素を総合的に考慮する必要があります。もし製品が環境保護要件の厳しい市場に向けられている場合は、鉛フリーはんだ付けが最適な選択となります。一方、コスト管理が重視され、はんだ付けの信頼性にそこまで高い要求がない場合は、有鉛はんだ付けがより適しているかもしれません。
総じて言えるのは、鉛フリーはんだ付けと有鉛はんだ付けの工法上の違いを正しく理解することで、電子製造に関わる技術者が実際の状況に応じた最適なはんだ付け方法を選択し、基板品質と生産効率を高めることが可能になるということです。