
電子機器の製造およびテスト工程において、PCBAの異常発熱は一般的かつ厄介な問題の一つです。温度が過度に上昇すると、機器の性能に影響を及ぼすだけでなく、部品の損傷や最悪の場合は製品の破損にもつながります。したがって、発熱の原因を迅速に特定し、効果的な対処を講じることが極めて重要です。本稿では、設計、材料、テストの三つの観点から、PCBAの異常発熱に対する原因究明と対策について詳しく解説します。
一 PCBA異常発熱の主な原因
設計上の欠陥
PCB設計段階のミスが発熱の原因となることがあります。たとえば
レイアウトの不備 発熱の大きい部品が集中配置されていると、熱が拡散しにくくなります
配線の問題 銅箔面積が不足していたり、配線が細すぎると熱伝導効率が低下します
放熱設計の不足 放熱スペースが十分に確保されていなかったり、適切な放熱経路が設けられていない場合があります
材料選定の不備
PCB基板材料の熱伝導特性は放熱性能に直結します。熱抵抗の高い材料を使用すると、熱が外部にうまく逃げず、局所的な温度上昇を引き起こします。
部品の問題
パワー部品の発熱 大電力部品は動作中に大量の熱を発生させるため、放熱対策が不十分だと高温の原因になります
部品の不具合 たとえばコンデンサやチップの故障により異常電流が発生し、発熱がさらに深刻化する可能性があります
製造工程の問題
はんだ付け不良 未接続やブリッジングによって電流が不均等になり、局所的な過熱を招くことがあります
残留物の影響 フラックスやはんだペーストの残留物が基板を腐食させ、リークやショートの原因となります
外部環境要因
高温環境 極端な温度条件下での稼働により、放熱負荷が増加します
通気不良 筐体内部の空気が循環せず、熱がこもりやすくなります
二 異常発熱の調査ステップと方法
外観検査
まず目視でPCBAに焦げ跡、ひび割れ、コンデンサの膨張など物理的な異常がないかを確認します。はんだ接合部に未接続やショートがないかも確認します。
サーモグラフィーによる検出
サーモグラフィーカメラを用いてPCBAの表面温度をスキャンし、異常な温度上昇箇所を迅速に特定します。特に複雑な回路基板において有効な手法です。
発熱分析
PCBAに直流安定化電源を接続し、電流を制限した状態で徐々に電圧や電流を調整しながら、発熱箇所を観察します。手触りやサーモグラフィーを用いてホットスポットを特定し、ショートや部品故障が原因かどうかを判断します。
電気テスト
マルチメーターで重要なノードの電圧や抵抗を測定し、電源や負荷の異常をチェックします。バウンダリスキャン技術を使用してチップのピン状態を確認し、チップ単位の不良を特定します。
データ分析と記録
発熱現象、測定データ、調査プロセスを記録し、不具合データベースを構築します。よくある故障パターンを分析することで、今後の設計や生産の改善に役立てます。
三 PCBA異常発熱に対する有効な対策
設計の最適化
合理的なレイアウト 発熱部品を分散配置し、熱の集中を回避します
銅箔面積の拡大 電源層やGND層の銅箔面積を増やすことで、熱伝導効率を向上させます
放熱経路の設計 通風孔やエアフロー構造により空気の流れを促進し、放熱効果を高めます
適切な放熱材料の使用
熱伝導グリースや熱伝導パッド 発熱部品とヒートシンクの隙間を埋め、熱の伝達効率を向上させます
ヒートシンクやグラファイトシート 放熱面積を拡大し、熱を迅速に逃がすために有効です。特に高発熱密度の領域に適しています
製造工程の改善
はんだ付けの最適化 はんだ品質を確保し、未接続やブリッジングを防止します
残留物の除去 フラックスやはんだペーストの残渣を速やかに清掃し、腐食やショートを予防します
放熱テストとモニタリングの強化
設計段階で熱シミュレーションを実施し、ホットスポットを予測します。製造中にはサーモグラフィーでリアルタイムに温度を監視し、放熱性能が要求を満たしていることを確認します
四 まとめ
PCBAの異常発熱を解決するには、設計、材料、製造、テストといった複数の段階から総合的に取り組む必要があります。適切な設計、材料選定、科学的な検査方法を通じて、発熱リスクを効果的に抑制し、機器の安定性と信頼性を高めることが可能です。本稿の内容が、実際の製造現場での熱対策に役立つことを願っています。