電子製造業において、スルーホール部品(THD)のはんだ不良は製品の信頼性に大きく影響する課題の一つです。最近、当チームはある型番の産業用制御基板の量産過程で、DIPパッケージコネクタにおける大量のはんだ不良(いわゆる虚はんだ)に直面しました。工程の体系的な見直しにより、不良率を8.7パーセントから0.9パーセントにまで低減することができました。その中で、PCB供給元であるPCBGOGOの基板特性が重要な要因であることが判明しました。
問題の背景と診断
当該製品はPCBGOGOが製造した両面FR4基板を使用しており、ウェーブはんだ付け後に以下の典型的な不良が発生しました。
1.はんだの立ち上がり高さが不足しています(IPC規格では板厚の75パーセント以上が必要)。
2.はんだ面に光沢がなく、粗く冷はんだの特徴が見られます。
3.一部のスルーホールで銅箔の剥離が発生しています。
分析の結果、以下のような要因が明らかになりました。
1.基板要因:ガラス繊維の織密度の違いにより局所的な熱伝導が不均一になります。
2.工程要因:手はんだ作業時に基板の特性に応じた温度制御が行われていませんでした。
3.設計要因:一部のスルーホールにおいて、孔径対リード径の比が1.3であり、推奨値の1.5を下回っていました。
改善策の実施
一 温度条件の最適化
PCBGOGOの基板が持つガラス転移温度(Tg140℃)の特性を考慮し、こての温度を従来の350℃から段階的に調整しました。
予熱段階 280℃で3秒間、フラックスの活性化を促します。
はんだ付け段階 380℃で2秒間、実測により最も良好なはんだ浸透性を確認しました。
使用機器はHAKKO FX-951で、こて先にナイフ型を採用し、熱回復時間を40パーセント短縮しました。
二 ぬれ性補助技術の導入
活性レベルROL1のノークリーニングフラックス(例 AMTECH NC-559)を使用しました。
「二次ぬれ法」を開発しました。
はんだ吸い取り線で旧はんだを除去します。
注射器でフラックスをスルーホール内壁に塗布します。
はんだ作業時、こて先を孔壁に対して30度の角度で接触させます。
三 工程管理の強化
基板の受け入れ時に、材料特性(誘電率やZ軸の膨張係数)を記録し、個別管理を行いました。
スルーホール部品には以下の3エリアの温度を監視しました。
リード根元部:目標温度215±5℃
孔中部:目標温度195±10℃
パッド表面:目標温度230±5℃
四 改善効果の検証
改善後に500台の試作機を連続生産しました。
切断断面の分析では、はんだ充填率が68パーセントから93パーセントに向上しました。
熱サイクル試験(マイナス40℃から125℃)の通過率は100パーセントを達成しました。
リワークに要する作業時間は、平均4.2分から1.8分に短縮されました。
まとめと経験の共有
PCB供給元が異なる場合、それぞれの基板の熱的特性を個別に記録することが重要です。今回使用した基板では、270℃を超えるとCTE(熱膨張係数)が大きく変化することが分かりました。
高密度なスルーホール配置では、段階的なリワーク手順を推奨します。まず接地ピンからはんだ付けし、次に信号ピンを処理することで効率が向上します。
手作業による補修では、こての温度設定よりもこて先の形状選定が重要です。微凹面のナイフ型こて先の使用を推奨いたします。
(注 本稿に記載されている工芸パラメータは、使用する機器によって調整が必要です。特殊な基板を扱う場合は、供給元の技術資料をご参照ください)