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PCBA放熱における熱伝導インターフェース材料の選定
12 0 Apr 16.2025, 17:49:24

PCBA(プリント基板実装)の設計および製造過程において、放熱は極めて重要な要素の一つです。電子機器が高性能化かつ小型化する中で、熱管理の課題はますます顕著になっています。効率的な熱管理は電子機器の安定動作を確保するだけでなく、その寿命を延ばすためにも不可欠です。熱伝導インターフェース材料(TIM)は熱管理における重要な構成要素であり、その選定はPCBAの放熱性能に直接影響を与えます。

熱伝導インターフェース材料の役割

PCBAでは、チップなどの発熱部品から生じる熱を迅速かつ効率的にヒートシンクや筐体に伝導し、最終的に外気へと拡散させる必要があります。しかし、チップ表面とヒートシンクの間には微小な隙間が存在することが多く、空気の熱伝導率は非常に低いため、熱伝導の妨げとなります。熱伝導インターフェース材料はこれらの隙間を埋め、空気層による熱抵抗を低減し、熱伝導効率を向上させる役割を担います。

一般的な熱伝導インターフェース材料の種類と特性

現在市場で広く使用されている熱伝導インターフェース材料には以下のようなタイプがあります。

熱伝導グリース
熱伝導グリースはペースト状の物質で、流動性と充填性に優れ、凹凸のある表面の隙間を効果的に埋めることができます。価格が安く、施工も簡単ですが、熱伝導率は比較的低く、時間の経過とともに乾燥やひび割れが生じやすいという欠点があります。

熱伝導パッド
熱伝導パッドはシリコンゴムやそれに導電性フィラーを加えた材料で作られたシート状のものです。一定の強度と厚みを持ち、設置が簡単で、表面が平滑で圧力が均一な場面に適しています。ただし、表面の平坦性が低い場合や圧力が均一でない場合は、熱伝導性能が劣化する可能性があります。

相変化材料(PCM)
相変化材料は特定の温度で相変化(固体から液体など)を起こし、その過程で大量の潜熱を吸収または放出する特性を利用して放熱効率を高めます。熱伝導率が比較的高く、表面の粗さや圧力の変化にもある程度対応できますが、価格が高めで使用環境の温度条件に制限がある場合があります。

熱伝導接着剤
熱伝導接着剤は一液または二液型の接着剤で、熱伝導性と接着性を兼ね備えています。接着強度が高く、発熱部品とヒートシンクをしっかりと固定できるため、接着が求められる場面に適していますが、作業がやや複雑で、硬化までに時間がかかるという点が課題です。

結論

PCBAの放熱性能を高めるうえで、熱伝導インターフェース材料は非常に重要な役割を果たします。材料を選定する際は、熱伝導率、使用温度範囲、接触面の状態、加わる圧力、コストなど複数の要素を総合的に考慮する必要があります。適切な材料の選択と設計の最適化により、PCBAの放熱効率を大きく向上させることが可能です。実際の運用においては、経験に基づいた十分な試験を行うとともに、新素材の技術開発にも注目することで、より優れた放熱性能を実現できます。


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